3.肝硬変の被害

3−1.肝硬変の転帰、予後

  • 肝硬変は、繊維化と炎症の程度が高く、肝がん発症のリスクが年率1.2~8.1%(平均約3%)にもなる。また、重症化すると肝不全、消化管出血(主として食道静脈瘤ができて、これが破裂する)により死に至ることもある。肝硬変のかかる転帰、予後から、肝硬変の告知を受けた者は、いつ死ぬかもしれない現実的危険性に襲われながら毎日を過ごすこととなる。ところが、Child分類には、食道静脈瘤の有無が反映されていない。
  • 平成20年5月、医師から突然、入院を言い渡された。仕事を調整し、入院して肝生検の検査を受けたが、その結果、『残念だが、肝硬変です。このままでは命をとられます。治ることは無いけれど、少しでも病気の進行を遅らせるようにしよう』と言われた。思いがけない医師の言葉に、私は呆然とした。それ以来、いつ命が奪われるかわからない、そんな不安を抱えながら生きている。
  • 平成2年4月から、B型肝炎の進行を少しでも遅らせるため、仕事帰りに投薬治療と週1~2回の点滴治療を開始した。また、定期的に血液、エコー及びCT等の検査を受けた。平成15年12月、B型肝硬変による食道静脈瘤破裂を起こし、大量の出血をした。すぐに緊急入院して、緊急手術を受けた。この時、出血性ショックにより大変危険な状態であったことを後で知らされ、とてもショックを受けた。その後、入退院を繰り返しながら治療を続けてきた。入院やその後の休養のため仕事を休まなければならなかった期間は1年間のうち短くても2か月、長い場合は半年間にも及んだ。そのため、平成19年8月に退職せざるをえなくなったが、その間、ほとんど満足に仕事も出来なかった。また、この時期は、ひたすら肝癌が発生しないように願う毎日であり、かつ、生きた心地がしない日々でもあった。
  • 夫は、結婚を機に退社し、会社を作り独立した。昭和61年に長男が生まれた。夫は、子の誕生を励みに体調に気遣いながらも、私ども親子三人は、楽しく、そして仲良く暮らしていた。ところが夫は、平成12年(2000年)11月に食道静脈瘤破裂により吐血し、手術をすることになった。そして、医者からB型ウィルスに因る肝硬変であること、そして肝硬変がその後肝癌に進行する病であることを知らされた。夫は勿論、私も、14歳であった長男も、大変ショックを受けた。夫は、それまで、酒・煙草等一切やらずに健康管理に努めていたが、なお一層、健康に注意するようになり、私もまた、夫の栄養管理、体調管理に一段と気を使うことになった。夫は、この時期以降は、それ迄にも増して微熱が続いては寝込むことが多くなり、体力をすっかり消耗しては入院を繰り返すという状況になった。夫は亡くなる迄、通院は毎月1~2回、多い時には、10数日を超える月もあった。また、入院も度々行った。こうした状況だったので、夫の会社の売上は伸びず、私ども一家の家計は子の成長もあって、大変苦しいものだった。

3−2.身体的苦痛、変調(肝不全の苦しみ)

  • 肝硬変は、体の倦怠感や動けない状態が慢性肝炎よりはるかに酷い。また肝性脳症を併発し、精神症状として昼夜逆転、記銘力障害、人格水準の低下、幻覚・錯覚、興奮、せん妄、錯乱、異常行動、傾眠傾向、昏睡などがみられ、神経症状として運動失調、筋硬直、尿・便失禁などがみられることもある。また、腹水や食道・胃静脈瘤を併発することもある。
  • 私は、平成8年から整体の修行をはじめ、ようやく平成14年、整体院を開業した。順調に患者も増え、何とか経営も軌道にのってきていた。しかし、平成20年の3月頃から全身がひどい疲労感におそわれ、立っていることすらままならず、とうてい患者の治療などできず、平成20年8月28日、整体院を閉鎖して実家に戻った。くやしさと経済的な不安でいっぱいだった。」「朝を迎えないと、身体を動かすことができるかどうかわからない。そんなことから、人と約束することが不安で仕方がない。あたりまえの日常生活をしているだけなのに、体が辛くなり、頭が朦朧としてきて、思考力、集中力、判断力、とにかく全ての能力が低下してくる。ひどい倦怠感・疲労感に襲われ、百人くらいの人間の手で頭全体を押さえつけられるような感じがして、頭蓋骨や首が圧迫され、目を開けていられなくなる。意識が遠のいていくようで立っていられず、あちこちで座り込んでしまう。外出すると、その影響で翌日は朝から頭がしめつけられて頭痛がし、呼吸が苦しくなる。

3−3.治療の苦痛

  • 代償期の肝硬変では、肝細胞癌の高危険群として画像診断を中心とした外来診察を継続的に行う必要がある。また、黄疸、腹水、肝性脳症を伴う非代償期では、病態に応じて管理、指導、治療が必要となる。慢性肝炎と同様、抗ウイルスアナログ製剤の投与による副作用が生じる。
  • 平成20年7月、医師から肝硬変の進行を遅らせることができるかもしれないとエンテカビルの服用をすすめられた。しかし、発疹など副作用がおこり、薬を中止した。」「最初、多額の費用がかかる薬を服用しないですむと、ほっとしたが、医師から、服用をやめていれば、今後は、内臓破裂による出血死か、肝不全により死に至るか、肝癌に移行して死に至るかだと言われた。どれもこれも、受け入れがたい言葉だった。

3−4.仕事の喪失と生活苦

  • 肝硬変に罹患すれば、身体的苦痛や経済的負担は慢性肝炎に比して更に大きく増すこととなり、仕事も喪失することとなる。また、肝がんの発症率が飛躍的に高まることへの不安・精神的苦痛に毎日寝ても覚めても苛まれる。
  • 働くことが出来ず、事務所を閉鎖した私は、生活保護の相談に行った。両親に年金収入と持ち家があるという理由で、全く相手にされなかった。経済的余裕がなくなり、今は、病院で診察を受けることも難しい状況である。
  • 最近は、身体能力も低下し、物を落としたり、何かにぶつかったり、ガステーブルの火が服に引火したりと、今まででは考えられないことがおきている。医師は、病気が進行しているかもしれないと言ったが、肝生検をしたばかりだし、頻繁に肝生検をすることは身体的にも経済的にも負担なので少し様子をみることにした。現在、師匠である整体医師から勧められた免疫力を高めると言われるハーブティーを飲んでいるが、これもかなりの金額。いつまで飲み続けられるかわからない。平成21年3月まで免疫力を高める治療を受けていたが、経済的理由から中止した。漢方、その他情報はありますが、全てお金がかかる。